サンプリング実施時の積算 -本孔と別孔の考え方と計上例-
なぜ、本孔と別孔の計上が必要なのか
地質調査の積算についてのあれこれを書いている積算のはなし。
第2回は、サンプリングを実施する場合の本孔と別孔の考え方と計上の仕方についてです。
これは随分と統一されるようになってはきましたが、発注者によっても設計書上での計上の仕方が結構分かれるところなんですよね。
同じ内容の調査なのに、設計書上の取り扱いが変わるのは問題アリです。
もちろん金額が変わってきますので、実際に調査を行う側としては重要視したいポイントとなります。
まずサンプリングというのは、簡単に言うと、土質試験を行うために、『乱れの生じないように』試料を採取することで、シンウォールやトリプルなどの種類があります。
そして基本的にサンプリングに必要な孔径は、シンウォールで86mm以上、トリプルの場合で116mm以上とされています。(設計業務等標準積算基準書)
ここでは、例として、Φ66mmのオールコアボーリングとシンウォールサンプリングを行う場合を考えます。オールコアボーリングには一般的に標準貫入試験を1m毎に実施します。
その場合のコアの標本は下の写真のようになります。
赤枠の部分がオールコアボーリング(Φ66mm、本孔)によって採取された試料
青枠の部分が標準貫入試験によって採取された試料 になります。これが一般的です。
しかし、例えばこの本孔で同時にサンプリングを行ったとすると・・・
一部を土質試験の試料として使ってしまうため、土質のサンプルの一部が欠損してしまうことになります。
また、サンプリングによって採取したい地層を選定するためにも、一度本孔で掘削をし、写真のような地層の様子を確認したあとで、実際に深度何m付近をサンプリングすればよいかを確認しなければなりません。
なので、サンプリングを行う際には、本孔(Φ66mm、オールコア)の他に、サンプリング用の別孔(Φ86mm又はΦ116mm、ノンコア)の掘削を行い、計上する必要があるのです。
実際の積算例
それでは、実際に設計書上での計上はどのようになるかを見ていきます。
下に、実際に本孔と別孔の掘削を行う場合の簡単な模式図を示しておきます。
オールコアボーリングとサンプリングを行う場合には、上図のように1度オールコアボーリングで予定深度まで掘削した後に、同じ足場の中でボーリングマシンを少し移動させ、孔径を大きくしたサンプリング用の別孔を掘削します。
そのため見ての通り、足場は1箇所ですが、ボーリングの孔は本孔(Φ66mm)と別孔(Φ86mm)の2つができることになりますよね。
設計書や見積書への計上もこの図をイメージするとわかりやすいと思います。
(各層を5m、水色→粘性土・シルト、オレンジ→砂・砂質土、ピンク→礫混じり土砂 とすると)
・オールコアボーリング(Φ66mm)
→ 粘性土・シルト 5.0m
・オールコアボーリング(Φ66mm)
→ 砂・砂質土 5.0m
・オールコアボーリング(Φ66mm)
→ 礫混じり土砂 4.0m
・ノンコアボーリング(Φ86mm)
→ 粘性土・シルト 5.0m
・ノンコアボーリング(Φ86mm)
→ 砂・砂質土 5.0m
・シンウォールサンプリング 2本
というような計上の仕方になります。
またそれに付随して、調査孔閉塞については、本孔及び別孔の2箇所を計上します。(最近はこの計上方法が増えています。)
ただ、解析等調査業務に係るボーリングの本数や国土地盤情報データベースへの登録に係る検定費については、別孔は含まないという考え方が一般的なようです。
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