従業員の賃上げで 企業の総合評価を加点
地質調査業をはじめとする建設業及び建設関連業においての働きを手確保するうえで切っても切れないのが『給料』ですよね。
以前から言われているように建設業といえば『きつい・汚い・危険』の3kのイメージです。最近は社会全体で労働環境の改善が叫ばれており、トイレや休憩室などの現場環境の改善や4週8休実施への取り組みが行われています。
また、I-Consiructionの推進も加速しており、全体の生産性向上が見込まれています。
しかしながら建設業の現場というのは、根本的に体への負担が大きく、汚れやすく、危険が伴う仕事だというのはこれもまた事実なのです。
なのでやはり、人材確保と若い人の入職を促すためには、『労働に見合った給料』がとても重要な要素になります。
今回、国土交通省から発表されたのが、従業員の賃上げを表明した企業の総合評価落札方式での点数を加点するというものです。
実施の内容は以下の通りです。
■適用対象 : 令和4年4月1日以降に契約を締結する、総合評価落札方式によるすべての調達。
■加点評価 : 事業年度または暦年単位で従業員に対する目標値(大企業 : 3%、中小企業等 : 1.5%)以上の賃上げを表明した入札参加者をにおいて加点。加点を希望する入札参加者は、賃上げを従業員に対して表明した「表明書」を提出。加点割合は5%以上。
■実績確認等 : 加点を受けた企業に対し、事業年度または暦年の終了後、決算書等で達成状況を確認し、未達成場合はsその後の国の調達において、入札時に加点する割合よりも大きく減点。
-国土交通省 総合評価方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置に係る運用等について
要するに、企業が従業員に『給料を上げるぞ!』という意思を伝え、それを書面にて提出することで入札時に有利に加点がもらえるということです。
ただ、本当に給料アップしてなかったら、次の時に減点しますよ!とも書かれていますね。
この記事において重要なのは、賃上げの目標値や加点の割合ではありません。
『国土交通省が入札参加者を選定するための条件に賃上げを加えた』という事実が重要だと思います。
これまでも国土交通省発注の総合評価落札方式の業務では、職場の労働環境改善に向けた取り組み(ノー残業デー・相談窓口の設置など)や35歳以下の技術者または女性の技術者を配置できることを加点の評価対象にした事例がありました。
これは、まさにこの国の建設業が直面している課題の解決に対する取り組みを行っている企業が有利になるようにする、つまりちゃんと将来のことを考えた行動を起こしなさい!じゃないと土俵に上がれなくなるよ!と言われているようなものなのです。
若い技術者を育てなさい、女性も働きやすい労働環境や勤務体制を作りなさいと言ったところでなかなか響かないでしょうし、日本の国柄として、はい、じゃあ明日からはこれやってる人しか仕事できません。という切り捨て方はできないので、猶予を与えつつ、少しづつその方向へ向かわせようとしているんだと思います。
どちらにせよ、これから企業も生き残っていくためには、働き手の確保はとても重要で、そのための職場環境づくりや採用・人材育成への投資は避けて通れません。少しでも早く行動し、できれば業界の中でも一歩先を行くような人・企業になっていきたいですね。